近松商会の社員たちが夢を持ち、自立した心構えで働くための道のりは決して楽なものではありませんでした。 近松商会は創業して40年近く経ちますがその大半の経営は売上や経費がいくらかかってるかなどとは気にもとめない成り行き経営をしていました。社長としても能力不足で社員教育や統率が全くできていませんでした。事情を抱えてる社員も多く、元暴走族の社員もいれば、高校中退の社員、施設で育った社員、障がいを持っている社員、いじめられっ子だった社員もいます。遅刻をする社員も非常に多かったため精勤手当を毎月3万円つけ、遅刻する度にそこからお金を引いていく制度にしなければ社員たちの遅刻は減っていきません。日々問題は増えるばかりで、まとまりもなく、私も社員も一人前とはほど遠いものでした。
経営者として私に転機が訪れました。今から約10年前、中古車部品のネットワークグループに加入をしたのですが、グループの執行部に選出された私は全国の同業者たちと積極的に関わっていく中で大きな刺激を受けたのです。ネットワークグループではスローガンをこう掲げています。「私の倉庫はあなたの倉庫、あなたの倉庫は私の倉庫」。どういうことかというと、このグループ各々の加盟店で引き取られた廃車を解体しパーツを各自保管しますが、パーツのデータベースはグループ内で繋がっており、自社の倉庫に目的のパーツがなくても、加盟店の倉庫にあれば自社の倉庫として自分のお客様に販売することができます。廃車のパーツもロスがなく、加盟店にも消費者にもメリットのこのエコシステムに私は大変感銘を受けました。しかしこのシステムを回すには、加盟店の互いの協力、自社都合ではない品質管理や連絡を徹底しないと実現できません。私たちは仲間でありながらライバルであり、互いの良い所は吸収をし、悪いところは改善をしていく、切磋琢磨してお互いを高め合っていきました。 こうして刺激を受ける中で、もっと近松商会をいい会社にしたいという気持ちが芽生え、社員とも切磋琢磨してお互いを高めて、より良い会社づくりをしていくために経営の勉強をはじめました。勉強するのが遅すぎたのではないかと悩んだ時もありましたが、ある恩師に「はじまった時がスタートですよ」。と勇気づけられ、会社の問題に真剣に向き合いはじめたのです。
経営の勉強をはじめてから、人材の育成にも力をいれはじめるようになりました。 お客様によりよいサービスを提供し、お客さまに愛される会社にしていくためには人材育成は必要不可欠です。社員たちにも会社が望む人物像を定義付け「何を目指しているのか」「求める人物像」「そのための課題」を日々社員たちに提示していき、「働きやすい環境」「やりがいや夢をもって能力を存分に発揮できる環境」を整えたことで、一人ひとりが課題に気づき、仕事に対しての誇りと責任を持ち、自発的に行動をするようになったのです。 冒頭でも話しました、元暴走族だった彼も人材育成により大きく成長し、現在は会社の重要な役割を持った社員として活躍しています。プライベートではすてきな奥さんと結婚し、マイホームも手に入れました。施設で育った社員もまた、近松商会に欠かせない人材となり、幸せな家庭を築いています。決してエリートと言える社員たちではないですが、私自身が変わりはじめたことで、社員たちも変わりはじめたのです。
少し前から社内ではこんな取り組みを始めています。毎日の日課として、日経新聞を読み新聞の見出しを見て気になった記事を切り抜いて、朝礼で発表しなさいと課しました。なぜ私が強制的に彼らに新聞を読むことを課題にしたのか?新聞を読むなんて、当たり前のことだと思うでしょう?しかしうちの社員たちは、新聞を読んだことないものが多くいます。ましてや経済なんてなんのことか分からないのが当たり前ですが、自動車解体業だから経済のことなんて知らなくてもいいではなく、世の中にはさまざまな仕事があること知って欲しかったのです。 もちろん障がいのある社員にも発表をしてもらいます。彼は記事を読んで理解することが難しいため、日経新聞一面のワールドマーケットを紙に貼り付け、自分の番が回ってきた際はそれを発表しなさいと彼に言いました。それ以来彼は毎日、新聞を切り抜き、自分が貼り付けたものをいつも会社に持ってきています。毎日持ち歩いているので紙はすっかりボロボロなのですが、自分で一生懸命貼ったものが彼はとても誇らしいのです。 初めのころ社員たちは、新聞に書いてあることなど分からずに発表していたはずです。 しかし数ヶ月たった頃から変化が見えてきました。フィンテックという言葉の意味さえ知らなかった社員たちが、フィンテックの意味を理解し、そのことについて会話をかわすまでになったのです。ポケモンGOがもうすぐ出るらしい、との話から始まり最近のゲームの最新技術の話題、プレステーションのバーチャルリアリティシステムのことなど、会話の幅が広がり世界情勢や経済が自分たちの仕事にも関連があることも理解できるようになってきました。 最近では社員たちの意思で朝の出勤前に新聞の内容をより深めるための勉強会を開くようになりました。 もちろん私も参加しているのですが、社員たちから教えてもらうことも増え、Tカードやnanacoカードの有効性を知り、生活に取り入れはじめました。新聞を読み始めたことで経済はつながり、回っていることを社員たちが気づきはじめたのです。このことは大変大きな成長です。 これからも広げられる可能性をどんどん広げ、社員たちの力を伸ばしてくつもりです。困難を乗り越え、ともに歩んできた近松商会の社員たちは志を持ち自らの力で着実に未来へと歩みはじめています。
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